あたしが一番になれないことは、わかっていました
彼にはあの人が必要で
あの人がいないと、彼は壊れてしまう
ただ
彼の役に、たちたかった
彼の痛みは到底あたしには理解できず
あたしの思いは到底彼には理解できない
あの人が
どうして彼のことを理解してあげないのかわからなかった
あの人しか
彼を理解出来る人はいないのに
あの人が彼を止める度
彼は少しずつ壊れていく
あたしでは、止められない
あたしは駄目なのに
あの人にはできるのに
どうして
どうして
どうしてどうしてどうして…!
どうして、あの人は…!
彼の役に、たちたかった
自分の命を使えば良いと、
言いたかった
彼に、
生きてほしかった
あたしがもし
ひとつだけ、望んで良いのなら
彼に、
彼の手で、
あたしを殺してほしかった
さよならも言わず、消える命
不思議と
怖くなかった
嬉しかった
あたしが最初で最後、たった一度だけ
彼の役にたてたのだと、感じられた一瞬だった
最後
最後の最後
この世界から消える時
あなたの声を聞いて
あなたが生きていると知って
安心しました
この上ないほど、
幸せでした
あたしが消えても
きっと彼は変わらない
しゃんと立って
ただただ他を踏み台にして
確実に上に行くでしょう
祈っています
あなたが望みを叶えることを
祈っています
あなたが上にたてることを
祈っています
あなたが
あなたが、生きていることを
さよなら、ありがとう
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