「好きな人には、幸せになってほしいじゃない」
そう言った彼女の横顔は、夕陽に照らされて、なんだか泣きそうに見えた
一番大切な恋は叶わない
誰かが昔そう言った
その時は良くわからなかったけど
今はなんとなくそうかな、と思う
きっと、大切だから
大切にしすぎて
自分じゃ役不足だとか思って
気後れして
相手の幸せをとにかく願って願って
相手に好きな人が出来たら応援しちゃって
何処か鈍く痛む傷も全部無視して
大丈夫だよ、て後押しなんかして
相談相手になって
届かなくて諦められなくて疲れはてて
見えないところで泣いて
それでも相手のことを思って想って
上手くいったら
きっと相手の女の子にこう言うんだ
「幸せにしてあげてね」
照れながら彼女のことを話す彼を見て
良かった、て暖かくなって
でもやっぱりつん、と痛くて
それでも笑って
自分を嘲笑って
だからこそ
彼女の夕陽に照らされた横顔は
泣きそうながらも
美しく見えたんだ、
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