夜中にふと目が覚めた
もう一度眠ろうとして
手を繋いで寝たはずの彼女がいなくなってることに気づく
目線をさまよわせれば
彼女は月明かりが差し込む窓の縁に座って外を眺めていた
…何してるの?
私は彼女に聞いた
彼女の後ろには細い月が浮かんでいる
月を見てるのよ
突然話しかけた私に驚くこともなく
彼女はぽつりと答えを返してきた
眠らないの?
私はまた聞く
眠れないの
彼女は答える
ふぅん
まだ完全に醒めていない頭でそうかえせば
彼女は私の方を振り返って言った
ねぇ 知ってる?
月の光にはね 治癒力があるんだって
そう言って月明かりの中微笑んだ彼女は
まるで今にも透き通って消えてしまいそうで
あぁ
あなたは、
消えてしまう
月明かりが彼女を連れていってしまう
さよなら
彼女の口が
そう動いた気がした
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