痛みが消えたことなんてなかった

幸せが溢れていたことはたくさんあったけれど

痛みがなくなったときなんて
なかったんだ

掘り返さないでほしい
と
祈ることは
逃げていることと
同義である

同じ名前を聞く度
ぎくりと反応することは
怖がっていることと
同義である

夢に見る度
悪夢になるのは
忘れられないことと
同義である

いじめじゃなかった
いじめなんてなかった
酷い言葉を最初に吐かれたのはあたしの方だと
今でも断言できる

それでも
思い込みで
自殺まで考える子だったから
弱い子だったから

あたしが突き放したせいで
死んでやしないか
怖く、なる

自惚れているわけじゃない
もうあれから何年もたっているのに
何故、
掘り返すの

同じ名前で
死んだとか
言わないで

同級生が容疑者とか
言わないで


いっそのこと

忘れることができたら

どんなに楽だったか


傷口が

膿んで

膿んで

かろうじて治って

痕は消えなくて

疼いて

疼いて


あたしを

侵す

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